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第11回『今宮純クロストーク・ミーティング』開催レポート

レース中の給油禁止やフロントタイヤのサイズ変更、予選やポイントシステムの変更などで大きく様変わりした今季のF1。開幕直後こそ「退屈なレース展開」との声も聞かれたが、その後のタイトル争い、レッドブルvsマクラーレンの新旧2強対決を中心とした展開に、新時代到来を実感しているファンも多いだろう。その2強対決に主役の座を奪われ、早くも失望の声も上がる盟主フェラーリや帝王シューマッハの復活劇は、果たしてどんなシナリオミスが起こったのか? 第9戦ヨーロッパGPで7位入賞、今季2度目のポイント獲得を果たした小林可夢偉の、苦しんだ前半戦や後半戦への期待値は?
 今シーズンはヨーロッパ滞在日数を大幅に増やし、現場取材主義を徹底して貫く今宮純が、今回も真夏の東京青山でファンの皆さんと熱く語り合います。また、今季がF1ラストシーズンとなるBS現場スタッフの前・中盤戦の仕事ぶりや後半戦への思いなど、お馴染み浜島裕英MS・MCタイヤ開発本部フェローをお迎えし、その胸の内を伺いました。
日時:平成22年8月8日(日) 14:00〜16:30
会場:東京青山「ホテルフロラシオン青山」
参加者:190名 
主催:今宮純公式Webサイト『F1World.jp』
協賛:株式会社 ブリヂストン
   ペルノ・リカール・ジャパン
□ 第一部 「2010年年シーズン、前・中盤戦を総括」〜ルール改正の功罪、F1レースはどう変わったか!?〜
      講師:今宮 純
撮影:池田まさあき
【講演内容一部抜粋】
■トップ5の得点差が凝縮された珍しいシーズン
crosstalk vol.11
まずチーム成績から振り返ってみますと、イギリスGP終了時点でトップ5には47点差がありました。それがドイツGPでは34点。ハンガリーGP段階では20点差にまで縮まってきた。これだけ上位の得点差が凝縮されたシーズン展開というのも、本当に珍しいと思います。
83年、64年、74年に、やはり3強、4強が最後までせめぎ合うというシーズンはありましたが、90年代にはなかったですから、まさに10年に1度、20年に1度のシーズンだと思います。
これだけ接近状態のシーズンになっている理由の一つは、マクラーレンが先鞭をつけたFダクト。リアのウィングに工夫をし、ダウンフォースを直線で減らしてトップスピードを稼ごうという新兵器です。もう一つはレッドブルが開発したブローン・ディヒューザー、エンジンの排気流を利用し、ディヒューザーに速い風を当てることでダウンフォースを稼ごうという、この二つの新兵器の登場にあると思います。
この2チームが持ち込んだ新兵器は確かに凄かった。序盤戦に関して言えば、マクラーレンとレッドブルの速さが明らかに違っていました。当然この新兵器をほかのチームも、一生懸命コピーして持ち込みましたが、残念ながら走行テスト禁止というルールに突き当たり、新兵器を持ってスタートしたチームは、それを進化させることができなくない。コピーして挽回しようとしたチームも、挽回のスピードがあがらないという状況になってしまい、結果、上位の得点差がギュッと凝縮されたシーズン展開となっているわけです。
■チャンピオン争い(1)問題はポイント数ではなく得点差!?
さて、チャンピオン争いの行方は、第17戦に予定されている韓国GPが実施されるかどうかが、大きく影響してくると思います。開幕前、僕は300点ラインがチャンピオンシップのターゲットになるとみていましたが、混戦展開で予想したほど得点が伸びていません。昨シーズンのように連勝で得点を重ね、突っ走るというチームが出ていない。多分、終盤戦もこの展開で進むでしょうから、そうなると優勝の25点が得られれば、もちろんいいわけですが、優勝は逃しても確実に2位に入り18点、3位に入り15点というポイントの重ね方が、すごく重要になってくると思います。優勝は逃しても、3位表彰台は確実にして15点を並べていく。これがチャンピオンシップを戦うための、終盤戦の方程式になると思います。
ハンガリーGP終了時点でトップのM・ウェバーが161点、2位のL・ハミルトンが157点、3位のS・ベッテルが151点、4位のJ・バトンが147点、5位のF・アロンソが141点と続いています。問題は誰が何ポイントという得点数ではなく、5人の間のギャップがどうなっているかという得点差です。ウェバーとハミルトンの得点差は4点、ハミルトンとベッテルが6点、ベッテルとバトンが4点、バトンとアロンソハ6点というように、トップのウェバーと5位のアロンソでも20点差しかない。ご存知のように今シーズンは、優勝25点、2位18点、3位15点、4位12点、5位10点、6位8点、7位6点、8位4点、9位2点、10位1点というポイント制度ですから、20点差というのは上位5人にとってはそれほど大きな得点差ではない。ハンガリーGPが終わってもまだ横一線という表現はオーバーかもしれませんが、サマーホリデーを終えたベルギーGPから本格的なポイント争いがスタートすると言ってもいいと思いますね。
■チャンピオン争い(2)4強それぞれの強みと弱み!?
crosstalk vol.11
M・ウェバーのいいところはレース・スピードありますね。タイヤをセーブする上手さもあります。マシンが満タンから空タンに変化していく120km〜70Kmの領域で車のバランスを最適に持って行くセットアップを見つけんだと思います。弱点はバトルに弱いこと。昔から接触、ニアミスが多いことですね。
L・ハミルトンは何といってもアグレッシブな攻撃的なドライビングが魅力です。生で見ていると迫力さえを感じさせます。反面、自分のドライビングに陶酔してオーバー・ドライブ、タイヤを傷めてレースを台無しにしてしまうケースがあります。そういうメンタル・コントロールが大きな課題と言えるでしょうが、挑戦者としては非常にいい役どころを演じてくれていると思います。
S・ベッテルはクオリファイの一発のスピードですね。ブローン・ディヒューザー、Fダクトも付きましたが、S字は昨年よりも速いと思います。彼の弱点はセーフティーカー(SC)に弱いこと。なぜかSCが導入されるとドライビング・リズムを崩してしまう。あれだけの速さがありながら、リズムが断ち切られると上手くいかなくなるんですね。
F・アロンソはレース・マネジメント、ゲームの読みの上手さですね。これは現役ドライバー中最多の23勝が証明しています。アロンソの弱点はエンジンがないこと。今年は19戦になったにもかかわらず、エンジン使用規定そのままの8基のみ。すでに6基を使い、完全に壊したのが2基以上ありますから、金曜日の練習走行ではオールド・エンジンで回していかなければならないローテーションの厳しさがあります。加えて今季のフェラーリエンジンはパワー不足で坂道に弱い点も挙げられます。
こうして優勝候補4人をピックアップしてみましたが、最終戦が3人のドライバーによるチャンピオン決定戦は過去、9回ありますが、4人決選は例がありません。もし今年、最終戦アブダビGPで4人による決定戦ということになれば、史上空前ということになりますね。
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