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第17回『今宮純クロストーク・ミーティング』開催レポート

このレポートは当イベントの長年のファンである江崎龍太氏が、ボランティアとしてまとめてくれたものです。開催から時間が経ちましたが、出演者の発言を丁寧にきちんと書き起こし、ボリュームたっぷりのレポートに仕上げてくれました。当日参加された方はもとより、残念ながら参加できなかった皆さんにも、楽しんでいただければと思います。

2013年シーズン開幕を前に開催された第17回「今宮純クロストーク・ミーティング」。
今回は全日本選手権に参戦する中嶋大祐選手ほか、これまで数多くの日本人F1ドライバーをサポートしてきた有松義紀さんをシークレットゲストに迎え、盛りだくさんの内容で語り合った3時間。さらには思わぬ形で“サプライズゲスト”も登場!会場は大いに盛り上がりました。
日時:平成25年3月9日(土) 13:00〜16:00
会場:東京青山「ホテルフロラシオン青山」
参加者:180名
□第1部 開幕直前!! 今宮純が語る2013年シーズンの展望! 
     出演:今宮 純
取材・文/江崎龍太 撮影:池田まさあき
■「3・2・4・2」のチーム勢力図
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今年度参戦する11チームをわかりやすく格付けすると、Aグループに3チーム、Bグループに2チーム、Cグループに4チーム、Dグループに2チーム、「3・2・4・2」という構図になると思います。Aグループはチャンピオンシップを狙っていくのが目標となるレッドブル、フェラーリ、マクラーレン。Bグループはチャンピオンシップを狙いたいけれど、まずは1勝ずつレースでの勝利が目標となる、ロータスとメルセデス。Cグループはザウバー、フォース・インディア、ウィリアムズ、トロ・ロッソで“表彰台を何回か獲りたい”そして“あわよくば勝ちたい”という4チーム。Dグループはケータハムとマルシャ。この2チームによるランキングトップ10を目指した戦いは、開幕戦から非常に激しくなると思われます。
■2013年シーズンの技術的傾向
現行レギュレーション最終年の今年、技術的なポイントは4つあると思います。1つ目はシャシーの内側が非常に高い温度であること。今年で最後となる2400cc V8エンジン、いろいろな意味で油圧系がハイプレッシャーで使われる傾向が強い。非常に高いレベルでの高温度、高圧、高周波振動に対するトラブル出しが、2月の合同テストにおいてシビアに行われていました。2つ目はエンジンのマッピング。コアンダエキゾーストがトラクションコントロールに有効ということで、そのためのエンジンのマッピングですね。あの形状やレイアウトばかりがよく話題になっていますけど、むしろいかにうまく使うかという意味での開発がシビアに行われていました。3つ目はエアロパッケージ。フレキシブル・フロントウィングの“しなり具合”が昨年よりさらに強化され、2倍近い強度にしなければならない中で、その度合いを試そうと様々な構造のフロントウィングがテストされていました。また、DRS使用区間の制限規定を受けての新たなリアウィングの開発、これも大きなポイントです。4つ目は今年からまた新たなスペックに変わったピレリタイヤです。コンパウンド、構造、ショルダー形状、レインタイヤもすべて変わりました。テストを見たところではリアタイヤの方が傾向が強く、どうしてもナチュラルなアンダーステアになってしまって、バランスをいかにして取るかということが行われていました。以上4点が、今年の技術的なポイントとして分析しております。
■予想グリッドで分析する戦力分布
全ドライバーの合同テストの平均順位を一覧にし、現況を別表にまとめてみました(News Eye「開幕戦予想グリッド」参照)。
フェラーリは開発が若干遅れ気味でしたが、これから投入される新しいパーツ類に加え、好調のアロンソ、スピードが戻ってきたマッサのアシストによるチーム力の向上を考えますと、これらの強みが実戦では活きてくると思います。
メルセデスはエンジンの制御系、KERSの開発がうまくいき力も急速に上がっています。昨年同様に「予選で強く、決勝でペースが早く落ちる」傾向はあるでしょうが、序盤戦に関してはAグループに割り込んでくる可能性は高いと思います。
ロータス。エンジンのマッピングはレッドブルのルノーとは若干チューニングが違うと受け止めています。コアンダデザインを含めたエキゾースト系の開発がうまくいったので、コーナー出口が非常にスムーズで速くなったのが大きいですね。
レッドブル。ベッテル“V4”は簡単ではありません。いくつか抱える小さな問題をどのようにしながら確実に表彰台を狙ってくるか。ウェバーとベッテルのタイム差がどこまで縮まるかということですね。
ザウバー。マシンにはいろいろなアップデートが入っていますけど、本番仕様でのパフォーマンスラン、レースシミュレーションというタイムで言いますと、昨年の小林&ペレスのコンビに比べてもう一つ伸びてないかなと思います。

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マクラーレンは、実戦で相当なものを投入できるチーム力があります。特にペレスがどれだけのスピードを発揮できるか。予選でバトンより前に出る可能性も結構あると思います。予選と決勝でどういった変動幅を出し切るかが面白いと思います。
フォース・インディア。一年間何もしなくても、ディ・レスタより速いスーティルの才能はあらためて認識しました。チームはタイヤの確認を地道にやってきましたが、それがどれだけ活きてくるのか。注目されるところです。
ウィリアムズ。ボッタスはGP2をスキップしていきなりのデビューになりますから、予選の進め方などうまく入れるか疑問はありますが、力量は相当高くてルーキーオブザイヤーの本命と目される存在です。マルドナドとのコンビで前半戦にどれだけやれるか注目です。
トロ・ロッソはもうひとつ測定しかねます。ジェームズ・キーが入って車をバッサリ変えた効果がどう表れるか。タイヤをいかにうまく使いきるかが序盤戦の活路を見出すポイントになってくると思います。
ケータハムとマルシャ。マルシャのジュール・ビアンキは、フランスの今のF1に対する国力をアピールする存在の一人。ケータハムは二人の若い新人がマシンのテクニカルスタンダートを出すのに少々手こずっているので、その点でマルシャがリードしています。
■波乱含みの序盤戦、“メルボルンのポールポジション”が示す意味
レギュレーション含め今シーズンの流れがどのように見えてくるのか。新人ドライバー5人というのは、今シーズンを占う上で大きな意味を持っています。特にフライアウェイが続く序盤戦、彼らにとって未経験のコースが続きますので、各セッションにおけるアクシデントが予想されてくる。赤旗、セーフティカーの出動する機会も増えるでしょう。22人中の5人ですからマシンは接戦、ドライバーは益々混戦という展開が予想されます。
予選は22台ですからQ1で6台が減ることになり、少しでも何かあれば相当な番狂わせが起きる可能性が高い。2台減ったことによってトラフィックが無くなるかといえば、そうとも言い切れない。予選ではDRSが使えませんので、上位陣がスローカーを抜きながらアウトラップのペースをいかに保つか、実はこれが結構難しいのではないかと想像しています。
昨年よりもやわらかい方向に振られている今年のピレリタイヤ。デグラデーションが激しいスーパーソフトは果たしてレースで何周持つのか。序盤戦のスーパーソフト投入はグリッドに対して大きな波乱要素を含んでおり、予選において非常に大きな見所になってくると思います。テストだけではなく実戦でいかにうまく使い込むか、そこがタイヤに関する重要なファクターになってくると思います。
オーストラリアGPのポールポジション、昨年のハミルトンは除きますが、その前の年も、その前の年も、その前の年も、その前の年も、さらにその前の年も、ポールポジションを獲ったドライバーがチャンピオンになっています。「メルボルンのポールポジションを誰が獲るのか」、そこに一年間を乗り切れるチーム力、ドライバーの力量といったトータルなものが出ているからこそのアルバートパーク。“予選で一番速い人が一年間を制す”という、データがはっきり表しているということですよね。これは断言できる確かな事実です。
■“マクラーレン・ホンダ”復活? 噂の真相
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25年ぶりのエンジン革命、現行のレギュレーションに合致したホンダF1エンジンは存在しないと思いますが、新レギュレーションの研究が地道に進められているのは事実です。当初1600cc直列4気筒という話だった2014年エンジン。そのベースと言えるエンジンを積んだシビックがWTCC(世界ツーリングカー選手権)を走ったことで、V型6気筒に変わってしまいました。“変えろ”と言ったのは他のメーカー、こういった「政治力」に対する研究はしっかりとやるべきです。また、急浮上してきたジル・シモンズという人物。フェラーリを辞めた後、FIAのエンジン研究部門で現行エンジンすべての図面を見ています。レギュレーションをうまく理解し、いかに強みに持っていくか。しっかり研究するという意味で、この人物を使うことは悪くないと思います。
“マクラーレンの関係者が来日しているのではないか”“ダラーラがテストシャシーを作るのではないか”いろいろな噂に尾ひれ背ひれがたくさんついて、いかにも興味をそそる話がイギリス方面から飛び出してきましたが、どうして14年からホンダエンジンという話になるのか。マクラーレン内部からのリークが非常に激しいのではないか、メルセデスとの契約交渉をうまくコントロールするために、ホンダの噂を意図的に流しているということは考えられないか。決してマクラーレン・ホンダ否定論ではありませんけども、実際はスーパーフォーミュラ、スーパーGT、インディ、WTCCと、やることがたくさんある中でF1エンジンをどこまでできるのか、これは本当に大変なことです。ただ、第3期活動から手を引いた後、2輪でチャンピオンを獲り、伊藤孝紳現社長のお気持ちが「やっぱりホンダの背骨はF1、モータースポーツ」という方向にどんどん傾いていらっしゃる、と漏れ聞こえております。1500ccターボから3500cc NAエンジンに変わった89年、第2期活動中のホンダは2年前の87年から開発をスタートしていた、それぐらいのリードタイムでガンガン回していたんです。複数カテゴリーのエンジン開発を一生懸命やりながら、F1のエンジン規定をしっかりと勉強して“こういうふうにやればこういうメリットがある、こういう強いエンジンができる”というところから研究している。そうしたことを総合的に考えますと、現時点の結論としては、この情勢、状況がうまく進んでいったとして、2015年、16年というのがターゲットになってくるのではないかと思います。そして、エンジンを作る以上はワークスチームだけではなく、カスタマーチームを含め複数チームへの供給を視野に入れた第4期活動であるならば、そういう展開でいってほしいと個人的に思っております。
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