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第4回『今宮純クロストーク・ミーティング』開催レポート

06年シーズン、白熱の前・中盤戦を語り合おう──。
当サイト恒例のF1トークイベント『今宮純クロストーク・ミーティング』が、06年8月19日(土)、東京青山「ホテルプレシデント青山」で開催されました。注目のチャンピオン争いは帝王M・シューマッハー(フェラーリ)の復活で、王者F・アロンソ(ルノー)に10ポイント差と、ますます白熱。コンストラクターズ・タイトルもルノーとフェラーリがわずか7ポイント差のガチンコ対決を見せれば、日本チームもホンダが直前のハンガリーGPで、2000年のF1復帰以来115戦目で念願の第三期初優勝を飾るなど、こちらも目が離せない。今回は第2部の「トークセッション」におなじみの『F1MODELiNG』編集長・左近俊彦氏(山海堂)をお招きし、話題満載の前・中盤戦をファンの皆さんと語り合いました。

 
□ 第1部 今宮純スペシャルトーク
〜06年シーズン前・中盤戦を振り返る〜
 
【講演内容抜粋】
●注目のタイトル争いは「鈴鹿日本GP」がキーになる。
チャンピオンシップは(第13戦ハンガリーGP終了時点)ルノー7勝、フェラーリ5勝、ホンダが1勝。コンストラークズ・ポイントでいえばー149対142で7点差はないに等しい点差。後半残り5戦、1戦1戦でひっくり返る激しいチーム戦になってきました。ドライバーズはF・アロンソ100点、M・シューマッハーが90点、現時点で二人の争いに絞り込まれたのは、M・シューマッハーがアメリカ、フランス、ドイツと3連勝したことが大きなポイントになりましたね。残り5ゲームを考えると、ルノー・アロンソ陣営としてはトルコとイタリアは(優勝が)厳しいので、その後にくる中国とブラジルが、絶対に勝たなければいけないレースになると思います。そうなると4ゲームの結果が2対2、残る鈴鹿(日本GP)が両チームにとって重要なレースになると思います。今年の鈴鹿は20回目のレース、過去19回のうち10回が鈴鹿の日本GPでチャンピオンが決まっています。最近では03年のM・シューマッハーがそうでしたね。第1回はN・ピケ、その後はA・セナというように鈴鹿でワールド・チャンピオンを決めたドライバーは、日本のファンに対して強烈なインパクトを残しています。F・アロンソの人気が日本ではいまひとつというところもあるので、もし彼が鈴鹿で勝つようなことがあれば、彼の人気も上がっていくのではないでしょうか。
 
●ルノーにとって尾を引くマス・ダンパー問題。
ルノーにとってなぜトルコ、イタリアに疑問符がつくのか、僕は例のマス・ダンパーの問題が大きく影響していると思っています。ルノーはドイツGPからマス・ダンパーを外してレースに臨んでおり、技術的には過去の問題だとCS中継の中でも発言しました。実際に問題が明るみになった時点でチームは、マス・ダンパーを外した状態でマシンをどう向上させるか、その点に絞り込んだテストを開始しています。ところが、その結論がまだ十分でないままにこの夏休み期間を迎えてしまい、マス・ダンパーなしでどう勝てるレベルまで持っていくか、その感触がアロンソにはまだちょっと…というのが、現状なのではないだろうかと僕は見ています。加えてイタリアGPのモンツァは超高速タイプです。あのコースはシケインの攻め方に重要なポイントがありますが、それがマス・ダンパーなしでどれだけ埋められるか。ルノー・アロンソ陣営もその点に一番警戒心を強めているのではないでしょうか。
 
●中国・ブラジルGPは帝王のドライビングが噛み合わない!?
では、なぜ中国、ブラジルGPはルノー・アロンソ陣営にとって有利なのか。その理由は、今までのフェラーリ・シューマッハーのレースぶりを見れば分かる通り、彼のドライビングが、なぜか上海のコースとは噛み合っていない。確かに初年度は勝ちましたが、それでもスピンしたり、ぶつけてしまったり、あのコースに対する苦手意識というものが彼の中にあるのではないかと、僕は思っています。加えてブラジルのインテルラゴス・サーキット、実はあのコースも過去のレースを見ても、もう一つリズムが合っていない。それをルノー・アロンソ陣営も見抜いているのではないかという意味で、残りの5ゲーム、コースのキャラクターがそれぞれ違うという背景もあって、面白い状況になってきていると僕は思っています。
 
●チャンピオン争いはいかに失点を食い止めるかが重要。
現時点でチャンピオン争いのポイント差はアロンソ100点、シューマッハー90点で、その差は10点です。ハンガリーGP終了時点で13戦ですから、13ゲーム戦ってアロンソは、130点満点で100点をとっている。つまり、失点は30点しかないということです。僕が今年F・アロンソというドライバーが昨年以上にすごいなと思うのは、1グランプリ10点満点を目指しているなかで、たとえ優勝できなくても失点を1点、もしくは2点というように最終限度で食い止めるレースができている。それを一戦一戦積み重ね、その結果が130点満点中の100点という結果につながっている点で、昨年以上のレースができていると思っています。レースですからタイヤの問題、エンジン、マシンの問題、失点の理由はさまざま考えられますが、それをどう食い止め、抑え込みながら長いシーズンを戦い抜くことができるか。それがチャンピオンの戦い方であり、ディフェンディング・チャンピオンのアロンソにはそれができている。それを証明しているのが、13戦で100点、失点はわずかに30点という獲得ポイントだと思います。
 
●序盤戦はオーストラリアGPがキーになった。
まず序盤戦、キーになったのは第3戦のオーストラリアGPだったと思います。ご存知のように今年、オーストラリアGPはバーレーンGPと入れ替わり、第3戦に組み込まれましたが、レースコンディションは予想以上に寒くなり、結果、タイヤも温まらず、F・アロンソが完全独走優勝を飾りました。ライバルのM・シューマッハーは最終コーナーでスピン・クラッシュし、ノーポイントに終わりましたね。もしあのレースが、これまでどおりのスケジュールで3月のメルボルだったら、あんなに寒いコンディションのグランプリにならなかったら、結果はどうだったか。勝負事に「たら・れば」や「もし」はないと言われますが、あえて「もし例年通りのスケジュールで行われていたら」…そこにレース・スケジュールの恐ろしさというものを、僕は感じました。
 
●論議を呼んだシューマッハーの「不自然なプレー」。
もう一つ挙げられるのが、第7戦のモナコGPですね。土曜日の予選中にM・シューマッハーがラスカスコーナーでコントロールを乱して立ち往生してしまった、あのプレー。
ちょうどF・アロンソらがポールポジション・アタックをしていた周回だけに、マシン・コントーロールを乱したシューマッハーが、わざとコースを塞ぐような形で停車したのではないかと論議を招きました。僕はCS生中継の現場にいましたから、どう見てもあれだけのドライバーが、あのラインでラスカスに入って行くことは考えられない。ましてマシンをコースのどこにも当てていないのに、道を塞ぐような格好で停めるというのは、どう見ても考えられない──と感じましたので「非常に不自然なプレーですね」とコメントしました。結果は、ご存知のように審議の対象となり、競技の進行を妨げたことに対してFIAから有罪のジャッジが下り、予選タイムの抹消、決勝はグリッド最後部スタートのペナルティとなりました。このレース、最終的にシューマッハーはファステストラップを奪って5番手まで追い上げましたが、あれだけのドライバーが疑惑をもたれるような不自然なプレーをしたという意味でも、非常に残念なレースとなりました。
 
●多発するペナルティ問題の背景にあるもの。
今シーズはここまで、コース上で道を譲らなかったとか、相手にブロックされたとか、抗議やペナルティが非常に目立っています。ハンガリーGPでもF・アロンソが金曜日のフリー走行中に、レッドブルのR・ドーンボスが道を譲らなかったことに怒って、幅寄せしたりブレーキを踏むなどの危険行為をしたとして、計2秒のタイムペナルティを課せられました。同じように土曜日には、赤旗を無視してマシンをパスしたとして、M・シューマッハーもプラス2秒のペナルティを受けています。なぜ今シーズン、こうしたペナルティが多発しているかというと、フリー走行や予選のコース上が非常に混雑しているという現状が上げられます。22台のマシンに加えてサードカーも含めると27、28台のマシンが走行している。そのためコース上が混雑し、ドライバーも非常にエキサイトしながらドライビングしています。しかもレースは国際映像でテレビモニターに映っている。何かあればそれが証拠となりますから、どのチームもちょっとしたことでも黙っていない。そうした背景が今年のペナルティ多発問題にはあるのではないかと、僕は思っています。
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