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第8回『今宮純クロストーク・ミーティング』開催レポート

ホンダF1撤退の衝撃冷めやらぬ中、幕を開けた09年シーズン。ホンダ撤退の要因となった国際経済の悪化を反映し、空力規制、スリックタイヤの復活、KERS(運動エネルギー回生システム)の任意採用化を柱としたレギュレーションの変更や、シーズン中に使用できるエンジンを1チーム20基に限定、さらにレースでは最高回転数を下げて使用するなどの新ルールも採用。コスト削減を大きなテーマに掲げ、新時代のF1にその第一歩を踏み出すことになった。今宮純が「10年ぶりのフルモデルチェンジ・イヤー」と位置づけた今シーズンのF1は、果たしてどんな展開をファンに見せてくれるのか。お馴染みの浜島裕英ブリヂストン MS・MCタイヤ開発本部長をゲストに、大いに語り合いました。
日時:3月14日(土)14:00〜16:30
会場:東京青山「ホテルフロラシオン青山」
参加者:182名 
主催:今宮純公式Webサイト『F1World.jp』
協賛:株式会社 ブリヂストン
Thanks:「GRAND PRIX Special」(グランプリ特集)
     モーターマガジン社 
□ 第一部 「2009年シーズンの展望/世界経済悪化の中でF1は…」
      講師:今宮 純
【講演内容一部抜粋】
crosstalk08
■ブラウンGPの速さ、チーム体制は本物か。
 ブラウンGP速いですね。やはりエンジンがいいんでしょうか。
 問題となるのは、リアのディフューザー、他チームからウイリアムズ、トヨタとともに車両規定違反との指摘も受けていますから、このままいけるのかどうか興味のあるところです。
 バルセロナ・テストではJ・バトンとR・バリチェロがびっくりするようなタイムを出しています。
 バルセロナのコースで1分19秒を切るというのは、100mの短距離走で10秒を切れなかった選手がいきなり9.7秒で走ってしまうぐらいに、僕には驚きでした。
 というのは、昨年のスペインGPの予選Q2でフェラーリのF・マッサがフルパフォーマンスランで1分20秒584というタイムを出したのに対し、ホンダ勢は21秒が切れませんでしたから、それがチームが生まれ、車が出来て、その2〜3日後に走ったら2秒も速い9秒台が出てしまったのですから、まさにサプライズです。
 速くなった理由はメルセデスのエンジンなのか、本当に素晴らしい車体が出来たのか、ドライバーがいきなり速くなったのか。
 また、チームがR・ブラウンの指揮下に入ったとたんにN・フライ氏がCEOとして出てきましたが、スポンサーや資金面の背景がどうなっているのか、これから明るみになっていくでしょうが、興味のあるところです。
■ホンダのF1復帰はあり得るか。
 ホンダが2月23日、現社長の福井威夫さんが6月で退任され、現専務取締役の伊東孝紳さんが新社長となる人事を発表しました。伊藤さんは技術畑の方で、研究所の社長も務めておられたということで、「モータースポーツ活動はホンダにとって重要であり、積極的に考えていきたい」というニュアンスのコメントがありました。
 ほかのOBの方々の話をお聞きしても、F1を含むモータースポーツ活動に対する考え方が、いままでのホンダ技研とは違う発想で動き出して行くのではないかという期待の声が聞こえてきます。
 そういう意味でも、早いアクションが望まれますが、そのときにF1世界選手権がどうなっているかが重要な判断材料になると思います。
 その姿に対し、ホンダを含めた自動車メーカーが、F1に取り組むだけの意義や必要性をどれだけ強く感じ取れるか。そのためにタイヤ交換は継続しながらもピット給油は廃止、昔のようにガソリン燃料を一定量にして、エンジン効率を含むそのパワーユニットを競う高効率ドライビングが、今後の目指すべき方向ではないかと思います。ターボでもスーパーチャージャーでもディーゼルでもいい。ハイブリッドにトライするのもいい。そういった新しいあり方を、技術的な意味から考えていくところに、新しいF1の姿があると思います。
■09年シーズンの展望──フェラーリが2冠候補か。
crosstalk08
 F1世界選手権は1950年に始まりましたから、60回目のシーズン。
 コンストラクターズ・チャンピオンはドライバーのペアリング、コンビネーションを見ればフェラーリが
有力候補だと思います。彼らは59シーズン戦って31回タイトルを獲っている。今季も2冠を目指してのシーズンになると思います。
 一方で、新人がS・ブエミだけで、事実上レッドブルの兄弟チームの中でシャッフルされただけというのも、F1史上珍しい年だと言えると思います。昨年はスーパーアグリの2人がいなくなった以外は、開幕から最終戦まで同じメンバーが走った珍しい年だったわけですが、その継続という意味で、今季は大きな変化がなかった。
それを考えると、20人のドライバーがそのまま行くのは考え難い。崖っぷちにいるドライバーがかなり多いと思います。
 その筆頭がK・ライコネンで、今年どれだけやれるかチーム側もすごくシビアに見ています。
 そのほかH・コバライネン、N・ハイドフェルド、M・ウェーバー、トヨタのJ・トゥルーリも、序盤戦の結果が重要になると思います。
 若手ではS・ブルデー、N・ピケJr、S・ブエミも、パフォーマンス次第でいつでも切り換えられる状況にあると思います。
■09年シーズン6つの注目点。
1.L・ハミルトンの連覇成るか。
今季は苦しいマクラーレンMP4-24ですから、我慢のレースが苦手なハミルトンがどれだけ我慢して、頭の4戦でポイントを稼げるかだと思います。
2.フェラーリが2年ぶり開幕ダッシュ成るか。
KERSを付けて総合的に安定しているのはフェラーリです。細かい問題は起きていますが、信頼性をどれだけ確保できるかに関わってくると思います。
3.8年目のトヨタは大いにチャンスあり。
オーストラリアGP〜バーレーンGPまでにひとつ結果が出せれば。
4.S・ベッケルが独走しながらストップという場面が何回あるか。
結構あると思いますが、彼には本当にスピードを見せて欲しい。レッドブルに食われたメーカーチームは相当なプッレシャーになるでしょうから、そういう意味でレッドブルチームが将来のF1の鍵を握っていると言えるでしょう。
5.「やっぱりアロンソだよね!」という声が何回聞かれるか。
彼が昨年のシンガポールGPや日本GPで見せたようなレースをいくつできるか。KERSを一番積極的に使えるチーム・ドライバーは間違いなくルノー・アロンソです。
6.ブラウンGPが本番でどこまでやってくれるか。
リアディフューザーの問題などをクリアできれば、かなりやってくれるでしょう。
■佐藤琢磨の選択は正解だった。
 佐藤琢磨が、あえてレッドグルグループの5番目のドライバーにならなかったのは、勇気ある選択だったと思います。今日、初めて公表しますが、僕は個人的な見解として佐藤琢磨が日本にとってどれだけ重要なドライバーか、レッドブルのトップに直訴する文章を書いて送りました。それがどういう形で届いたか分かりませんが、その後、「日本での佐藤琢磨の存在がよく分かった」というニュアンスのコメントがありました。もちろん、彼を応援するファンや関係者が、さまざまな形でレッドブルに働きかけていることも背景にありますが、彼が5番目のドライバーになっても、今季のF1はテスト禁止規定ですから、一年間マシンに触れることなく過ごさなければならない状態になるとしたら、彼にとってはつらいいことだと思います。
 その折り合いとしてほかのレースに出るのか出ないのか。今、アメリカやヨーロッパの別のカテゴリーに行っても、どこのチームも体制が決まっていますから、もし体制のよくないチームへ行くことになり、そこでいい結果が出なかったら、彼のレース人生は終止符を打つことになってしまいます。今、彼がやるべきことはフランス語やスペイン語の勉強だと思いますが、どうでしょうか。
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