News Eye
2014オフ・テスト「バーレーン中間試験」を裏読み分析!
2014.02.27

 本題に入る前に、3月8日「1stクロストークイベントPLUS」にさっそく多数エントリーをいただき、ありがとうございます。西は神戸、北は秋田、北海道からF1LOVERS皆さまが恵比寿に集合されます。

 今回あらたに“PLUS”としたそのこころは原点に戻り、じっくりこじんまりしたスペースでクロストークをと考えたからです。実は渋谷スポーツバーにてトワイライトタイム開催を検討していたのですが、日程や時間の都合により実現できず、急きょ恵比寿となったしだいです。いつもの青山とは全く違うスペース空間です。でも駅のそばで、恵比寿にはこじゃれたレストランもバーなどが路地裏にいっぱい。近郊や全国各地からお越しの方にはイベント後に散策をおすすめします。
 
 また会場では久々の単行本『流転。ジャパン・グランプリ1976』3月上旬出版記念を兼ね、即売サイン会を予定しております。これは僕が20代のころに書いた国内最初の“F1世界選手権イン・ジャパン(日本GP)”長編リポートをリマスターし、さらに激動の76年シーズン総集編リポートを加えたノンフィクションです。文体として当時の流れを意識し、その時代に国内ファンや一般の方がまだ見ぬF1をどうとらえていたか。自分も原点に戻り書き下ろしました。宣伝文句とすれば“永久保存版・最初の日本エフワン物語”です──。

 最新の古典(?)として上梓したので、お若いF1LOVERSもご一読願えればと、どうかよろしくお願いします。

 『走らぬ実験室』となった14年オフ・テストがビッグニュースとなっている。
前期試験1月28〜31日へレス、中間試験2月19〜22日バーレーンを終え、残るは最終試験2月27〜3月2日バーレーンだけとなった。

 へレス最速はマクラーレンの新人ケビン・マグヌッセン。父親ヤンは95年日本パシフィックGPにマクラーレンで参戦、その後スチュワート・チームで6位入賞が1回、ほっぺが“リンゴ顔”でそれだけしか印象はない。ちなみにデンマーク人にはセンの名が多く(ル・マン覇者T・クリステンセンとか)、スウェーデン人はソンで、フィンランド人はそうネンばかり。しかし息子ケビンは第2のルイス的なマクラーレンの秘蔵っ子、以前から僕も注目していた新鋭でペレスに変わり彼が抜擢されたのは納得がいく。これはおそらくR・デニス復権と絡み、M・ウイットマーシュとともにメキシコ人はフェイドアウトとなったのだろう。

 MP4/29シャシーは〇だ。13年フロント・プルロッド・サス採用による苦い経験を糧に、メカニカル・パッケージを相当研究した成果を感じる。メルセデス・パワーユニット(以下PU)はさておき、MP4/29シャシーは現時点で1,2を争うレベルにある(2位はいいじゃんロータスE22だ!)。みなさんが雑誌などで見るフォトでもリアの姿勢が“腰砕け”にならず、ピシッと路面をつかんでいるのが分かると思う。シャシーでいえば1にマクラーレン、2にロータス、3がフェラーリだろう。

 次のバーレーン・テストではメルセデスW05のN・ロズベルグが最速1分33秒282。これは彼が出した13年バーレーンGP・PP1分32秒330に迫り、注目された。なぜか本人も分からないと言っているがニコはここでは速く、それは“コンビネーション・コーナリング”を得意とする彼のスキルだと指摘しておこう。バーレーン・テストが今年決定した時から僕はニコがくると見ていたから驚きはあまりない。

 メルセデスが今のところ本命視されている。確かに直線速度データからW05はERSアシスト・フルパワーに近く、推定800馬力にいち早く到達している模様。その彼にぶち抜かれたケータハム小林が、「信じられないくらい遅い、こっちはGP2だ」と言ったのも当然。彼らはERSアシスト・パワーを引き出すレベルに至っていないからだ(14年1600ccエンジン+ターボ、ERSアシスト少々だと200馬力は違うので)。
 みなさんが最も驚いているのはへレス・テストで昨年半分以下の6509Kmしか走れず、バーレーンも昨年バルセロナより3500Kmも少ない距離しか全チームが走れなかった事実だろう。この「走れない実験室」状態は近年としては異常だがその理由、原因はいったい何か?

 ピットガレージはシャッターを閉めたまま、ガードは固くて現場取材は実際のところ難しい。その奥で何が起きているのか。関係者もメディアも“封印”しているが最大原因は、FIA統合のマクラーレン製ECUだ。昨年もこれがオフ・テストから序盤戦を通じて機能せず、全チームがセットアップや戦略面で非常に苦しんだ。全く同じ事象が今年も起きていて、しかも複雑なニューPUだけに“電気系”が誤作動しまくり、ベンチ・テストと全然違う症状が発生しコースインすらできないチームが多かった。
 個人的にはこのマクラーレンECUのアップデートしだいだ。つまりこの“混乱テスト状態”を引き起こした元凶はコレ、3メーカーPUの出来不出来というよりもFIA公認供給一品の仕業ではないかと思える──。

 それにしてもダメなレッドブルRB10・ルノーとさんざんこき下ろされている。動かない、燃える、焦げる、煙る。A・ニューウェイともあろう鬼才が、そんな“駄作車”を造るはずはない。確かにルノーPU搭載マシンには共通した“冷却問題”がある。だがケータハムはバーレーンで5位相当1369KMも走行、レッドブルはたった半分の627KM。ルノーPUだけの問題ではないと誰でも理解できるだろう。 

 何をやっているのかレッドブル?
全く異なるマシンアプローチで彼らは、ある関係者証言によれば「タービン排気応用によるオフ・ブロー」を規定内で解釈、それにこだわりシェイクダウンテストからずっとトライしている・・・。

 オフ・ブロー命できたレッドブルがすべてあれを捨て去るとは思えない。しかしアッと驚くような秘密兵器を公衆の面前で開発するのも難しい。トラブル続きでそれをいったん諦めれば、そこそこ走るだろうがそれはプライドが許さない。それで難しいテスト情況に堕ち行っているのではなかろうか。

 大胆に序盤戦を“実戦テスト”ととらえ、彼らはシーズン中にモノにする選択を選んだのか。引退したM・ウェバーがいいことを言っている。「いまのレッドブルを甘く見てはいけない」と。また話題のシーズン・ポイント制で、彼らは最終戦だけでなく終盤3戦ともに“2倍返しポイント”をと言い出し始めている。中盤から後半勝負に賭けるレッドブル、逆に序盤から勝負するメルセデス、現況分析すると非常におもしろい。

 一喜一憂のテスト報告は深読みしなくてはいけない。25年前、89年に1500ccターボ禁止から3500ccNA大排気量エンジン規定「F1革命」が起きた時、走らぬ実験室状態を現場ブラジル・テストで1週間も僕は現場で観ていた。そして開幕戦では7周程度しか全力で走れなかったフェラーリ640のN・マンセルが勝ち、2位は絶対王者マクラーレン・ホンダのA・プロストで、3位には小チームだったレイトンハウス・ジャッドを搭載したニューウェイのCG881がこの年立った一度だけ完走を果たした。

 とんでもない奇跡的な結果、それを今になって思い出す。あと4日間だけのバーレーン最終試験によって事態がどう変わるか、詳しくは3月8日イベントで・・・・。

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