Race Eye
「98%攻撃、2%守備型」ロズベルグと「99.9%攻撃、0.1%守備型」ハミルトンの
“タイトル・マッチレース”はさらに続く!
2014.07.11

 濃厚なレースが続くヨーロッパラウンド、第9戦イギリスGPで今シーズン全19戦日程のほぼ半分を消化。これからドイツGP〜ハンガリーGP2連戦の後に、恒例の“夏休み期間”に入る。

 さて第9戦を終了した時点で、最近3シーズンの「トップ3ドライバー得点」を一覧比較してみよう。
・12年=1位アロンソ129点、2位ウェバー116点、3位ベッテル100点
・13年=1位ベッテル157点、2位アロンソ123点、3位ライコネン116点
・14年=1位ロズベルグ165点、2位ハミルトン161点、3位リカルド98点

 2年前はトップ3が“29点差”、昨年は“41点差”で今年は“67点差”と、確かに接戦傾向は薄れている。ロズベルグが現在ハミルトンを4点リード、しかし昨年同時期の首位ベッテルの得点とくらべるとそう大差ない165点と157点だ。ロズベルグは前半、大独走の印象が強いが、昨年のベッテルは9戦4勝、対して彼は9戦3勝と一つ少ない。

 ただ2位5回は昨年のベッテル1回を大きく上回り、常に優勝争いしながらそつなく“18点ゴール”を重ねている。そのロズベルグらしさが最もよく出たのがカナダGP、PU(パワーユニット)関連の機能が低下、ブレーキングやギア操作が難しくなった状況下で得た2位はとても大きい。チームメイトだけでなくチームスタッフにも「匠の技」を認識させたからだ。 

 ハミルトンは今季2度目のリタイアに追い込まれ、その焦りからかヨーロッパラウンドのオーストリアGP、イギリスGPともに予選アタックでミスを連発。これはとても珍しい。誰もが認める“爆発的スピード”をいかんなく発揮した序盤の連続PPアタックとは打って変わり、ドライビングの精度がやや落ち気味で、5戦スペインGP以降PPがない・・・。

 端的に言わせてもらうとロズベルグは「98%攻撃、2%守備型」、一方ハミルトンは「99.9%攻撃、0.1%守備型」。ミスの頻度はロズベルグが少なくてハミルトンはやや多い。ただすべてパーフェクトなマシンであればハミルトンは攻撃力を“爆発”させ、リミット・スピードを見せつける。今年最速マシンを得た二人のドライバー・タイプがはっきりと表れ、後半戦はずっと“タイトル・マッチレース”が続いていくだろう。

 「セカンドベストを目指せ!」──。これがメルセデス勢以外の現実目標。開幕戦からそのポジションにきたのは順にマグヌッセン2位(マクラーレン)、ベッテル3位(レッドブル)、ペレス3位(フォースインディア)、アロンソ3位(フェラーリ)、リカルド3位(レッドブル)で、彼はモナコGP3位とカナダGPに初優勝。ヨーロッパラウンドではボッタスが初表彰台3位と連続2位にきて、2年目ウイリアムズでセカンドベストの存在にのし上がってきた。

 彼らの鬩ぎあいは激しく、これが今シーズンのもうひとつの特徴となっている。メルセデス勢が前方に消えてしまっても、このグループの接戦は昨年までよりはるかに熱く見応えがある。この集団にはアロンソ、ベッテルたちのチャンピオン経験者がいて、新鋭リカルドとボッタスも著しい成長を見せレース展開を濃厚なものにしている。

 ランキング順に短評してみよう。
3位リカルド(98点)のタイヤマネージメント能力がイギリスGPで3位入賞を可能に、1回ストップ作戦の最長37周スティントは事前データを超えるもので自主判断だったとは驚き。予選アタックをまとめ上げ、レースペースもOK、史上105人目ウイナーは今後頂点に立てる逸材だ。

4位アロンソ(87点)は今年もタイトルチャンスが消滅、それでもフリー走行4セッションでトップタイム、メルセデス勢以外で最多回数だ。現状のフェラーリで苦戦しながら孤軍奮闘、全戦入賞で見せ場をつくってきた。

5位ボッタス(73点)を次なる「GP106人目ウイナー」最有力候補に推したい。スピードセンス抜群、母国先輩M・ハッキネンに似る。テクニカルフィードバックも2年目で充実、チームに溶け込むまじめな姿勢をF・ウイリアムズさんも評価。ベッテルに対するリカルド、マッサに対する彼の存在、この新たな“チームメイト関係”は興味深い。

6位ベッテル(70点)の悩みは深く、セッティングを細かく変えても納得いかない様子がコースサイドで観察していて見てとれる。ダイナミック・ダウンフォースが激減したRB10で低速コーナーを攻めあぐむ。トラブルがなぜか彼に多いことも苦悩する原因に・・。

7位ヒュルケンベルグ(63点)とアロンソだけが全戦入賞中、フォースインディアのパフォーマンスを完全に引き出している。マクラーレンとのチーム・ランク5位争いが後半激化するのは必至、エースとして期待されている。

8位バトン(55点)は現役最多256戦出走のいまや大ベテラン。今年のマクラーレンは高速コーナリングが劣り、そのハンデを克服できず苦戦が多い。母国GPでは雨がらみ予選で本領発揮、表彰台目前の4位は善戦と言える。来季以降の契約がどうなるか不透明な部分がちょっと気になるが。

──タイトル戦線にいる二人の『心理ゲーム』と、セカンドベストをめぐる王者&新鋭たちの鬩ぎあい。“二極構造”の14年シーズはここから後半に折り返し、ますます濃厚なクロスレースが増えて行く。

 

P.S. 8月9日(土曜)に「第21回クロストーク・イベント」を、いつもの青山フロラシオン・ホテルにて開催します。レギュラーゲストはフェラーリの浜島さん。企画詳細などは検討中、近日募集スタート!
全国F1LOVERSの皆さんとまたお会いするのを楽しみに。

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