Race Eye
第11戦シェル・ベルギーGP“ホンダ・スタッフとの会話”
2015.10.13

 ここだけの話にしておきましょう。
スパ・フランコルシャンでは、ホンダ現場スタッフ一部メンバーと偶然同じホテルになった。いま彼ら10人は英国のミルトンキーンズ住まいで、家族ともども赴任した方もいる。でもGP転戦が続きお父さんは不在、留守番の皆さんは大変さびしい思いをしているだろう。

 同宿の一部スタッフによると3軒に分かれて泊まっているとか。スパには大きなホテルは少なく、鉄筋建てのエレベーターがあるようなところは数軒だけ。小さな民宿やレストラン・ホテルばかりなので、どのチームもバラバラに分かれて泊まるスタイルになる。それはやはり不便だ。パドックから戻ってきて、ちょっと何か気がついて話そうにも直接会話ができない。

 報じられたように、マクラーレン・ホンダはこのGPで2台合計“105グリッドダウン”ものペナルティーを受けた(スペアPUを造り、今後の戦略的ローテーションを首脳陣は狙った)。毎晩PUを交換、各コンポーネンツを組み替える作業に追われたのは彼らたちだ。そのハードワークの合間に喫煙スペースで一息、そこで雑談するのが憩のひととき。ホンダF1現場部隊の“伝統”はスモーキング、それはしっかり受け継がれていると僕も冗談で語りかけた・・・。

 とくに取材するでもなく、様子を探るでもなく、彼らと一緒に雨宿りする。まあ“世間話”の延長だと思っていただこう。その会話で飯のハナシになったとき、彼らはあの豪華なスシ・バー付きモーターホームで食べたことは無く、マクラーレンの“英国美味食(皮肉です)”ばかりだと聞かされて驚いた。自分もあのモーターホームには入ったことがない。そこで働いている外人メンバーは以前BARホンダ時代に居た連中で、昼食サービスで世話になったのでよく知っている。でも彼らも気安く誘おうとはせず、とても敷居が高い(関係者以外立ち入り禁止、飲食提供サービスは無い)。ひっそりたたずむそこに出入りする関係者の姿はまったくと言っていいほどなく、総責任者さんや部長さん、広報の方の“現場オフィス然”としている。

 不思議な空間だ。同じ社のスタッフも食べたことが無いモーターホームって、いったいなんのため、誰のためなのだろう・・・。けっこうな金額がかかっている立派な施設だけに、ああもったいない。ちなみにルノーは質素な小さなモーターホームで、食事提供などしていないけれどいつでも行けばにこやかにおいしいエスプレッソを煎れてくれる。それ以上の接待など期待していません。

 スパでは2レース分ものPU交換とチェックのために働いた若い彼らも、土曜夜は“パルクフェルメ”なので作業禁止なので早上がり。ホテル1階にあるレストランでむさぼるようにまともなディナーをとる姿を見かけた。ゆっくり食事した後に、表の玄関にある喫煙所でいっぷく・・・(全室禁煙)。しゃしゃり出ていっても悪いと思い、つかのまの休息時間をじゃまはしなかった。

アロンソ13位、バトン14位。2戦完走できたのは今年初めて。彼らが組み上げたPUは壊れることも、あやういことも無く完走した。燃費は大丈夫、バッテリーは足りない寸前、長いスパのコースとストレートでは苦しかったと正直にあとで語ってくれた彼らは、ホッとしていた。
「本当にいまは疲れていますが僕らもスペインGPごろからやっと、動きに慣れてきましたからガンバリマス(笑)。」

 いま以上、これ以上に頑張ってくださいと、それしか現場で日夜奮闘する彼らに賭ける言葉はみつからなかった。ベルギーGPの日曜夜、ここでもう一泊できるのでと皆さんは元気だった。

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